大判例

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東京地方裁判所 昭和49年(ワ)7473号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

原告と被告は昭和四八年五月初旬以降、家屋建築請負契約を始め、同年六月二五日には、原告は自己の署名押印をした契約書用紙を被告に示し、それらに署名押印することを要求した。被告は、契約締結時に支払うべき請負代金の第一回分割金の用意ができないので、七月七日にその支払をするとともに、右契約書に署名押印をして渡す旨原告に申し出、右契約書用紙を預かつた。

【判旨】

二不法行為の成否

前記の、本件契約に関する原告と被告との交渉経過、及びその後の事情等を総合してみると、(特に原告が被告に対し契約書を提示した昭和四八年六月二五日以前には、両者は、本件契約のためにかなり頻繁に交渉を重ね、契約内容についてはかなり細かい事項についての話も出ていたと推認される点。)昭和四八年六月二五日の時点において、被告には、本件契約を締結するか否か、あるいは締結を延期するかどうかについて原告に対し明確な意思表示をし、もつて原告の契約締結に対する期待感並びに被告に対する信頼感を裏切らないようにするとともに、原告に不測の損害を蒙らせないようにすべき義務が信義則上発生すると解するのが相当であり、その直前の仮設組立ハウスの注文に関しては、明確に拒絶の意思表示をしながら本件契約に関しては何ら明確な意思表示をすることなく、原告に、被告が本件契約締結を承諾したと誤信せしめた被告には、右義務の違反があるというべきである。

さらに、その後においても、被告としては、原告が本件契約が締結されたことを前提としたために生じた損害があることを知つた以上(昭和四八年七月下旬ころ)、それ以上の損害が発生しないように、原告に対し、本件契約の締結は拒絶した旨明確に告知する義務が信義則上発生し、その義務は、原告が、被告の本件契約不締結の意思を確知した時点まで存続すると解すべく、右時点は、原告の被告に対する本件工事再開についての回答の催告期間の満了日である昭和四九年五月一三日と考えるのが相当である。

以上により、被告は原告に対し、右各義務違反の結果原告に生じた本件契約が締結され、あるいはされていることを前提とすることによる損害につき、民法七〇九条に基づき、相当因果関係の範囲内でその賠償をする責任がある。

(麻上正信 板垣範之 小林孝一)

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